コミカライズ編集者がおすすめ!「絶対に読んでほしい第1話」Part2

トレンド・プロ出版編集部の檜山萌子です。

前回は「絶対に読んでほしい第1話」をテーマに
「週刊少年ジャンプ」で連載中の『僕のヒーローアカデミア』をピックアップいたしました。

 

今回は、どこがすごいのか、もっと突っ込んで詳しく言及したいと思います。

 

※ネタバレしかありませんので
 絶対に第1話を読んでからスクロールしてください。
 「少年ジャンプ+(プラス)」で読めますから……!!

『僕のヒーローアカデミア』第1話を推す理由について

 

 

『僕のヒーローアカデミア』第1話は物語として素晴らしい

映画、小説、漫画……
エンターテインメント作品にはいくつも表現手段がありますが
すべて「物語(ストーリー)である」という点では共通していますね。

 

人が感動し、素晴らしいと思うためには、
まず「物語」として優れていなければなりません。
物語のつくり方は理論立てられていて
その方法論についてはいくつも本が出ています。
このブログでは、単にこの漫画面白いよ!と言うだけではなく、
物語の方法論に沿って、なぜ面白いのかを解き明かしていきます。

さて、物語の方法論で述べられている面白いストーリーとは
ざっくりまとめると次のようなことです。
●魅力的なキャラクターが登場し
●読者が感情移入しやすい場面設定で
●続きが気になるような展開をする

 

といいつつ……、
今回取り上げるのは連載の第1話
キャラクターの魅力も、どんな世界のお話なのかも
まだまったくわからない状態です。
『僕のヒーローアカデミア』では
第1話全54ページのうち、じつに25ページ(約半分!)を
キャラクター&世界観設定の説明に費やしています。

説明されている情報はざっくりこんな感じ。

【キャラクター&世界観設定】
1.主人公はヒーローオタクのいじめられっ子である
2.主人公にはいじめっこの幼馴染がいる
3.主人公は高校生である
4.主人公の住む世界では
  個性と呼ばれる特殊能力を持っている人がほぼ100%である
5.個性を悪用する敵・ヴィランと、そのヴィランを退治するヒーローがいる
6.ヒーローは職業となっている

ここまでで使ったページ数は12ページ。
キャラクターと世界観と基本的な情報がまとめられています。
これだけでは「魅力的なキャラクターがいる面白そうな物語」とは思えないですよね。

 

そして気になる13ページ以降……。
じつはここから25ページまでは、
たった1つの要素を説明するためだけに使われているんです。

 

【主人公の事情】
・ヒーローに憧れる主人公だが、彼は無個性であるためヒーローにはなれない

 

これって、主人公・緑谷出久(みどりや いずく)の
「他のキャラクターとは違うポイント」なんですよね。
つまり、主人公が主人公たる理由が説明されているわけです。
この主人公たる理由が説明されないと、
どんなに面白そうな設定のお話でも
読者は感情移入することができません。

 

たった30文字にまとめられる内容に12ページ割く。

 

だからこそ、赤の他人である読者が主人公に共感して、物語にのめりこめるようになるわけです。

ここまで説明されてから、物語は一気に動き始めます。

 

原作漫画を読まないまま、ここまで読んでしまった方にお伝えすると
『僕のヒーローアカデミア』第1話はこんなセリフで終わります。

 

── 君はヒーローになれる

 

 

残りのページ数は29ページ!
さて、どんな魔法を使えば、主人公はヒーローになれるのか。
テーゼとアンチテーゼが上手に描かれた後半部分は長くなるのでまた後日に。